自己PRの『PR』とは?

わたしが外資系経営コンサルタント会社を辞めて脱サラした時、すべての肩書を捨てました。というか捨てざるを得ませんでした。なぜならば、学歴も、職歴も、これまで培ってきたことのほとんどに価値がなくなったからです。

そこで脱サラしたわたしがまずやったことは名刺をつくることでしたが、「名刺」をつくることに苦労しました。なぜならば、これまでわたしにとっての名刺とは「社内のシステムで注文すれば自動的に届くもの」だったからです。

名刺を注文するという思いがけないところで、脱サラ初日のわたしは頭を悩ませることになったわけですが、わたしは人生ではじめて真剣に「わたしは何者か?」ということを自問自答することになったわけです。

肩書で悩む人ダラケ

まさかその後、肩書や自己紹介で苦悩し続けることになるとは夢にも思っていませんでしたし、肩書や自己紹介で悩んでいる人が多いことも知りませんでした。

二代目社長

「わたしは脱サラしてまで何をしたかったのだろうか?」とよくわからなくなった若い時分のわたしは、起業家が集まるセミナーに参加することにしました。

そこで出会ったのが、某日本酒メーカーの二代目社長でした。(以下、二代目社長)

二代目社長はわたしとは比べ物にならないほどに大きな事業に挑戦していて、フランスのパリでお店を出店するために日本とパリを行ったり来たりしていました。

わたしは素直に住む世界が違うと思ったのですが、意外にも共通する悩みを抱えていました。それは「わたしは何者か?」という悩みでした。

二代目社長は、二代目ですから、初代から事業を受け継いだわけです。偉大な父と常に比較され、偉大な父と交流のある偉大な創業社長からも「おい!二代目!君は何がしたいのだ?」といつも詰問されるので、「いつも胃が痛い」と嘆いていました。

わたしたちは、「わたしたちは何者か?」ということについて議論することになるのですが、ある質問が「わたしは何者か?」に対する答えを発見するブレイクスルーになるのでした。

ブレイクスルーになったある質問とは、「わたしたちを決めるのは、わたしたちではないのではないか?」というシンプルな問いでした。このシンプルな問いを理解してもらうために、少しだけ脱線します。

キムタク

元SMAPの木村拓哉さんは「キムタク」といわれることが苦手なのだそうです。

年齢を重ねて昔から変わらない『キムタク』であり続けることは不可能であることを本人も自覚しているでしょうし、某週刊誌で実の父親からも「キムタクであり続けることは不可能」だと指摘される始末です。

いい意味でも、悪い意味でも「キムタク」であることをやめることができない木村拓哉さんですが、TBSの「モニタリング」というの番組のドッキリ企画で「キムタクといわれ続けることを受け入れるしかない」という趣旨の発言をしていました。

突然、木村拓哉さんの話になって混乱した方もいると思うので話を整理していきます。

二代目社長は「二代目社長」といわれ続けました。木村拓哉さんは「キムタク」といわれ続けています。

二代目社長にだってちゃんと名前がありますし、木村拓哉さんだってファンは「キムタク」ではなく「木村くん」とか「タクヤ」などと呼ぶそうです。

何がいいたいかというと、「自己紹介のすべてを自分で決めることができるという」考えこそが勘違いを生んだ元凶であるということです。

もっとハッキリいってしまいえば、わたしたちがわたしたちだと思っているものは「わたし」ですらないのです。

演習&解説

説明されればされるほど混乱するという方のために、頭をスッキリさせる超簡単な演習を紹介しますので、数分間挑戦してみてください。

演習)自己紹介

自己紹介の文章を箇条書きで用意してみましょう。

自己紹介(例)

わたしは(の)、

  • ●●業界のサラリーマン
  • 会社での役職は●●
  • 英検●●級の取得者
  • 配偶者は●●
  • 子ども2人の父(母)
  • 両親は●●と●●
  • 趣味は●● etc

です。

解説)自己PR

上記、●●に当てはまるのは「自分以外の存在」であることにお気づきでしょうか?

そうなんです。自己紹介しようとすればするほど、自分以外のものについて説明せざるを得ないのです。

芸能人が「あのドラマの●●役で出演していたあの人」というように表現されるように、あなたもそのような存在であるということです。

案外知られていないのですが、そもそも自己PRの『PR』の正式名称は”Public Relations”です。つまり”Public”(公)との”Relations”(関係)について説明するのが自己PRなのです。

あなたの価値を決めるもの

あなたの価値は他人が決める以上、もし価値ある人間だと思われたいのであれば、自己中心的な態度を卒業して、他者の立場になって考えることの重要性に気づく他ありません。

自己中心的な態度の人は「わたしは●●ができます。」というように実績をアピールするでしょうが、自己PRの本当の意味を理解している人であればそこで話を終わらせるという失敗は犯さないはずです。

自己PRの本当の意味を理解している人であれば、「わたしは●●ができます。」というような実績自慢ではなく、「あなたを幸せにできる約束がなんであるか」をストレートに伝えるはずなのです。

実績を伝える目的は、あくまでも「あなたを幸せにできる約束がなんであるか」を証明するためであって、約束がなければ実績を説明する意味などないのです。そのことを踏まえて、「就職活動」、「熟年婚活」、「ビジネス」における自己PRについて改めて検討してみましょう。

就職活動で

新卒で学生を採用するのは勇気がいることです。なぜならば、新卒を採用して数年間は給料以上の仕事をすることなど期待できないからです。

ですから新卒採用で緊張しているのはむしろ学生ではなく、新卒採用の担当者のほうです。なぜならば優秀な学生に入社してもらえなければ、経営層から直接「どうなっているんだ?」と雷が落ちるからです。

新卒採用者の立場になって考えてみてください。自分たちがお墨付きを与えた内定候補の学生は、役員や社長と面接するわけですから、「お前の目は節穴か?」と指摘されないためにも、必死になって「光り輝く素質・才能」がないか探しているはずです。

ですからもし本当に就職活動で勝ち抜きたいのであれば、「なぜ?自分を採用すべきなのか?」という点をわかりやすくアピールすべきです。

採用した学生が本当に仕事ができるかどうかなんて、長期間実際に仕事をさせてみないとわからないのですから、まずは興味をもってもらわないと先に進めないことは明らかです。

面接官があなたを面接したあとに、複数の面接官から「キムタク」のようなあだ名をつけられるようであれば「第一関門突破」でしょうが、もし印象を残せないのであればお祈りメールが届くのも時間の問題かもしれません。

熟年婚活で

『君を幸せにする自信はないけど、僕が幸せになる自信はあります』という口説き文句は、釣りバカ日誌の浜ちゃんのプロポーズの言葉ですが、このようなプロポーズが通用するのはフィクションの世界だからです。

王道のプロポーズは「あなたを幸せにするから結婚してください。」でしょうし、良好な夫婦関係を築くためにはプロポーズを受ける側も能動的に相手を幸せにするために行動しなければいけません。

お互いがお互いを幸せにするという気持ちを継続できなくなったとき、良好な夫婦関係は失われ、『離婚』の2文字が頭にチラつくようになるでしょう。

ビジネスで

売りたい商品よりも『すでに売れている商品』、商品の良さを長々と説明する必要がある商品よりも『わかりやすい』商品の方が売れます。

それにもかかわらず、多くのビジネスマンが「顧客が欲しい」商品ではなく、顧客のためにという大義名分を掲げて「売りたい商品」を売っています。

商品の良さを上手にアピールするプロであれば、売りたい商品を売ることはできるでしょう。とはいえ「売りたい商品」である以上は、売ろうとするたびに大変な労力を割かなければいけないでしょう。

最後に

今回の講義では、自己紹介が「自己」を紹介するものではないということを明らかにしました。

このことを理解していれば、勘のいい方であれば、他人を振り向かせる自己紹介とはなにか?ということも、自分に自分でスイッチを押す自己紹介とはなにか?ということも理解できるはずです。

次回はこれらの点について明らかにしたいと思います。お楽しみに!

■ 次はコチラ

あなたはあなたの関係者ですか?

■ Module2のTOPへ戻る

魅せる自己ブランディング