わたしが高校生の時、同じクラスの女性が「本当のわたしがわからない」ということをつぶやきました。
詳しく話をきけば、親と一緒にいる自分、友達と一緒にいる自分、カレシと一緒にいる自分はそれぞれ違う存在のように感じられるというのです。
肩書・自己紹介を考える上で、非常に重要な視点に気づかせてくれるので、この女子高生の疑問を掘り下げて考えていきたいと思います。
あなたは『何者』なのか?
この女子高生の疑問を紐解く上で貴重な映画が、園子温(そのしおん)監督の「紀子の食卓」です。
紀子の食卓
「紀子の食卓」では吹石一恵さんと吉高由里子さんが姉妹役で共演しているのですが、この姉妹は「家族ごっこ」にハマっていきます。
娘を亡くした父親や、息子や娘が帰省しないのでさみしくしているおじいちゃん・おばあちゃんにお金で雇われて、文字通り「家族ごっこ」に勤しむのですが、他人の家族を演じているうちに「自分が誰だかわからなくなる」姿が描かれています。
姉妹が家族ごっこにハマったきっかけは、「あなたはあなたの関係者ですか?」という某掲示板の質問でした。さて、、、あなたはあなたの関係者でしょうか?
よくわからないと思うので解説しましょう。紀子の食卓で描かれる世界観は、「あなたはあなたのようでもありつつ、あなたではない」という世界観です。
ひらたくいえば紀子の食卓という映画は、「わたしたちは『役』を演じる存在でしかないのではないか?」というテーマを投げかけてくれているのです。
具体的には、あなたは誰かの『子ども』でしょうし、結婚すれば『夫』や『妻』になり、子どもが生まれれば『パパ』や『ママ』になり、孫が生まれれば『おじいちゃん』や『おばあちゃん』になる存在です。
また家庭内での役割もあれば、会社のなかでの役割もあるはずです。昇進するにつれて、係長、課長、部長、役員、社長のように肩書だけでなく求められるスキルも発言も変わっていきます。
わたしたちが与えられる『役』は、周囲の人との関係性によって変わっていくという点もポイントです。
紀子(演:吹石一恵)は、地方から東京に家出して「娘」という役割を放棄しようとするのですが、紀子の父はそれを許しません。父親にとっての紀子は、いつまでも『娘』なのです。
実は今回紹介した『紀子の食卓』で描かれている世界観の土台には、仏教の「縁起」(えんぎ)という概念があります。縁起の世界観を理解すれば、魅力的な肩書・自己紹介を創るために必要なことをもっと深くまで理解できると思うので、もう少し話を続けます。
縁起(えんぎ)
縁起の世界観は、いろいろな日本の歌手がモチーフにしています。今回の講義では、Mr.Children(ミスターチルドレン)の『彩り』という曲の歌詞を紹介します。
僕のした単純作業が この世界を回り回って
まだ出会ったこともない人の笑い声を作ってゆく
そんな些細な生き甲斐が 日常に彩りを加える
モノクロの僕の毎日に 少ないけど 赤 黄色 緑
あなたの仕事も、この歌詞のように誰かの役に立っていると思いますが、それだけじゃない。。。というところが縁起という概念を理解するポイントになります。
『彩り』の歌詞を読めば、僕のした単純作業が「まだ出会ったことのない人の笑い声になる」だけでなく、僕の世界を彩る「些細な生きがい」になっていることがわかります。
つまり人間関係というものは『一方通行』のものではなく、『双方向』なのです。
以上、人間関係は双方向であるという当たり前のことが理解できると、魅力的な肩書・自己紹介というものがわかります。
魅力的な肩書・自己紹介とは?
あなたが「価値ある人間」という『役』を演じるためには、あなたがそういう役割を演じていることを信じてほしい人に、その魅力を伝えなければいけません。
ではどう伝えればいいのかというと、、、、ズバリ「将来あなたを幸せにします。」ということを伝えるべきであり、相手が「この人と付き合っていたほうが得だし、付き合わなかったら損するかもしれない」と確信してくれれば、あなたの肩書・自己紹介はひとまず成功といえるでしょう。
『ひとまず成功』といったのは、人間関係は一方通行ではないからです。人間関係は双方向であることを理解していれば、あなたは他人からのフィードバックによってのみ、存在価値を確認できるということが理解できるでしょう。
このご時世、「●●専門家」とか「●●コンサルタント」を名乗るのはカンタンです。名乗った瞬間に、あなたは専門家として認知されます。しかし専門家でありつづけることは「名乗る」だけでは成立しないのです。
あなたが「●●専門家」として活躍し、あなたが専門家として価値を提供した相手が満足し、その相手から「ありがとう!」といわれてはじめて、あなたは「自分は専門家なのだ」という確信が得られるのです。
最後に
魅力的なレッテル(肩書・自己紹介)とは、「自分の心のどこかに隠れているスイッチを押して行動をうながすものであるだけでなく、相手の心のどこかに隠れているスイッチを押して行動をうながすものである」ということは前回までの講義ですでに解説しましたが、今回の講義ではさらに奥深い世界にあなたをご招待したつもりです。
つまり以下のような好循環を達成することが、「最強の自己紹介」が目指すところだと理解していただきたいと思います。
自分のスイッチを押す
↓↓↓↓
相手のスイッチを押される
↓↓↓↓
自分のスイッチがさらに押される
↓↓↓↓
相手のスイッチがさらに押される
今回の講義を受けて、「1日でも早く最強の自己紹介を創りたい!」とウズウズしていると思うのですが、まだ説明すべきことがいくつか残っています。
次回は、連鎖反応を爆発させるコツを紹介しておきたいと思います。お楽しみに!
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