ダレトクな商品VS大ヒット商品

スーパーで働く女性から聞いた話です。(以下、山田さん:仮名)

山田さんがアルバイトしているスーパーは東京港区にありました。一日の売上が200万円を超える比較的な大きなスーパーでした。

しかしある日、同業他社のスーパーが近隣に出店することが発覚したのですが、まさがそのことが大事件に発展するとは誰もが想像していませんでした。

駐車場がないから大丈夫

山田さんが勤めるスーパーの店長は、同業他社が近隣にできるというのに「今度新しくできるスーパーには駐車場がないから大丈夫だよ。」と余裕しゃくしゃくでした。

しかし近隣のスーパーができると、売り上げは7割減になってしまったそうです。しかし店長はそれでも余裕のある態度を崩しませんでした。「開店セールでお客が流れているだけだから、そのうちお客さんは戻ってくるよ。」といって顧客離れの現実を深刻に受け止めていなかったのです。

しかし店長の願いはむなしく、残念ながら顧客はそれからもずっと戻ってこなかったのです。そして売り上げの減少とともに、総菜や野菜・お肉などの仕入れも少なくなり、とうとうアルバイトの人員も減らされることになってしまったのでした。

店長は、「近隣のスーパーをいいところを見習って、是非ともお店を立て直そう!」と意気込んでいたのですが、山田さんはずっとこう思っていたそうです。「絶対に無理だよ。」と。

山田さんが「絶対に無理だよ。」と確信した理由は、商品の質の差が圧倒的だったからです。野菜も、肉も、魚も、総菜も、パンも、、、、それらのすべてにおいて、質で負けていたのです。

新しいスーパーは、サラダはその日のうちに毎日カットしているし、肉も美味しくて安いし、魚も新鮮なのです。また総菜で調理されているアジフライだって国産なので、肉厚でジューシーであることは一口食べればわかります。さらに店内で調理されるピザなんかも、本格的なピザ窯で調理されているので美味しいのです。

しかも新しいスーパーは、高いのか?というとそんなこともなく、値段はそこまで変わりません。そのため、山田さんは主婦の立場で「新しいスーパーに勝てているところは、立地のよさぐらいしかない。とはいえ新しいスーパーの立地が多少不便であろうと、みんな新しいスーパーで買い物するだろうな。」と確信したというわけなのです。

新しいスーパーで買い物をすることは『楽しい』のに、山田さんが勤めているスーパーで買い物をするのは『楽しくない』のです。

しかし店長はまったくそのあたりの事情を理解していないようでした。店長が意識しているところは、商品そのものの『質』ではなく、値段、接客、値引きのタイミングなどばかりで、抜本的な対策など何一つ提案されなかったのです。とうとう山田さんは、主婦の正直な実感を理解できない店長に、諦めにも似た感情をもつようになってしまったのです。

顧客の立場の難しさ

もちろん店長だって、新しいスーパーに開店初日の試食会に偵察にいっていたそうです。しかし店長は圧倒的な差に気づきませんでした。なぜ?気づけなかったのか??というと、、、、

おそらく、「実際に買い物をしていないから」だと思います。買い物をしていたらすぐに気づくであろう差に気づけなかったのです。

ではなぜ?買い物をしなかったのでしょうか?

おそらく店長には「おごり」があったのだと思います。「わたしはスーパー業界30年のベテランだから、お客さんのことぐらいわかっている。」と錯覚してしまったのだと思います。

「見込み客のことが分かっている」と思ってしまった瞬間から、終わりのはじまりがやってくるということは、是非とも覚えておいてください。そして見込み客のことがわかっていると思ってしまった瞬間から、「顧客の心を惹きつけるどころか遠ざけてしまう」ことばかりやっているのに、そのことに無自覚になってしまうのです。

なさそうでない商品

顧客の心を遠ざけてしまった実例を、いくつか挙げたいと思います。

事例#1)ぎょうざちゃんぽん

有吉弘行さんのテレビ番組『有吉弘行のダレトク!?』という番組の『没メニューレストラン』というコーナーをご存知でしょうか?

レストランの没メニューを再評価するという趣旨のコーナーなのですが、2018年11月27日に放送された回では、長崎ちゃんぽんで御馴染みの『リンガーハット』の没メニューが紹介されました。

このコーナーではいくつかの没メニューが紹介された後に、没メニューのなかから期間限定で発売する商品を決めることになっているのですが、結局のところ選ばれたのは『ぎょうざちゃんぽん』でした。

ぎょうざちゃんぽん

【出典:リンガーハット

この商品をみた時に、『面白い』と思った人は多いと思いますし、「食べてもいいかな」と思った人も多いでしょうが、実際に食べた人は少数派でしょう。

なぜ?パリパリの焼き餃子を汁のなかにいれるのか?

なぜ?めんが入っていないのに「ちゃんぽん」なのか?

という疑問ばかりが頭を駆け巡ること間違いなしの、まさしく「なさそうでなかった商品」でしょう。

事例#2)悪魔のおにぎり

コンビニのローソンが『悪魔のおにぎり』という商品を販売して大ヒット商品になりました。2018年10月16日~12月4日の間に累計1,000万個販売したそうです。

ローソンの人気No.1おにぎりは、長い間『シーチキンマヨネーズ』だったそうなのですが、その歴史を塗り替えたのですから、これは凄いことです。

しかし話はここで終わりません。なんとローソンは「悪魔シリーズ」を展開しはじめたのです。例えば、『悪魔のトースト』、『悪魔のパン』、『悪魔の焼うどん』といった具合です。

悪魔のおにぎりは「ありそうでなかった」商品だったと思いますが、果たして『悪魔のトースト』、『悪魔のパン』、『悪魔の焼うどん』は、「ありそうでなかった」顧客から喜ばれる商品であるかは議論の余地があるでしょう。

事例#3)ヤバイ恵方巻

ヤバイ恵方巻

居酒屋の甘太郎が発明した、総カロリー6,000kcalオーバーの恵方巻です。豚ヒレカツ、ガーリックライス、ピザ、たまご、マヨネーズ、牛カルビ焼肉、ソーセージで構成されています。

あなたはこの恵方巻食べたいですか?まさしく『なさそうでなかった』商品であることは明かでしょう。

ありそうでないのもいいけれど

情報発信しようとすると、「なさそうでない」コンセプトで情報を発信してしまう人も多いのですが、それが失敗の元凶であることを理解している人は少数派です。

「なさそうでない」ものを提供しているうちは、どれほど頑張ってもその努力は空回りしてしまうでしょう。是非とも見込み客の立場になって、「ありそうでなかったもの」を提供することを意識することをおススメします。

もし「ありそうでなかったもの」を提供したくても、いいアイディアが浮かばないのであれば、「ありそうである」商品や情報のなかから、実績があるものを販売したり発信すればいいのです。くれぐれも奇をてらって墓穴を掘らないようにしましょう。

最後に

Module5のこれまでの講義であなたに伝えたかったことは、顧客(見込み客)の立場になるということは、集客・マーケティング・セールスだけでなく、商品開発にも多大な影響を与える重要な問題であるということです。

もっとハッキリいうならば、顧客(見込み客)の立場になることを忘れてしまったら、集客も、マーケティングも、セールスも、商品開発も、すべてうまくいかないことが決定的になってしまうということです。(そんなの嫌ですよね?)

一般的なマーケティングの講義であれば、「顧客の立場になることは重要です。」という言葉だけでその言葉の意味を伝えようとするでしょうが、顧客の立場になることはそれほど簡単なことではないということは理解していただけたでしょうか?

どれほど優秀な医者だって神さまではないので、すべての人を救うことはできません。しかし医者から「わたしは神様じゃないから期待しないでください。」と通告されたら、「こんな医者信用できない」とあなたは思うはずです。

東京大学法学部を卒業した優秀なはずの官僚ですら、国の舵取りに失敗しています。もし官僚から「わたしだって人間ですから、期待しないでください。」といわれたら、「官僚さん。自信がないなら、官僚をやめてください。税金泥棒はやめてください。」とあなたは思うはずです。

そして、、、忘れてはならないことは、、、、あなたも情報を発信する以上は、読者から、見込み客から、顧客から、医者や官僚のような視線を浴びせられるということです。

人の命を救うのが難しいから医者という仕事があるのです。国の舵取りをするのが難しいから官僚がいるのです。難しいことをやっているから、社会的地位や高給を手に入れることができるのです。

同様に、もしあなたが情報発信者として成功したいのであれば、読者・見込み客・顧客の立場になるという一筋縄ではいかない仕事から逃げてはいけないのです。

もしあなたが読者・見込み客・顧客の立場になることから逃げたら、あなたの将来は『終わりのはじまり』につながっています。(そう、冒頭で紹介したスーパーの店長のように!!)

逆に辛抱強く、読者・見込み客・顧客の立場になることに立ち向かうなら、あなたの将来が「成功」につながっていることを近い将来、実感することができるでしょう。

あなたは今、分岐点にいるのです。読者・見込み客・顧客の立場になるプロになると覚悟を決めるのか?それともアマチュアのままでいるか、それとも無視するのか???

選ぶのはあなたです。あなたはどの道を選びますか?

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